日本の女性は危ない?
(出典:Trends in Contraceptive Use Worldwide 2015/United Nations)
これは2015年度の統計です。15歳から49歳までの結婚、内縁状態の女性を対象に調査した避妊方法です。
各国の避妊状況と日本の避妊状況を比べると一目瞭然ですね。西欧諸国では「妊娠して困るのは女性。女性は自分で自分の身体を守る。」という意識が高いことが良くわかります。
またどこの国も、ピルは日本よりはるかに安価で手に入り、1か月分100円程度で買うことが出来るため、若い世代からピルがしっかりと普及しています。コンドームは「性病予防」の観点の方が強いと言えます。
お隣の韓国ですら女性自身で避妊をする割合は日本より高く、男女とも避妊手術の割合が日本より大幅に高いのは手軽な整形外科手術が普及している影響もあるのでしょうか。しかも文化的に結婚前の妊娠が許されない風潮もあることから、そもそも避妊の意識は高いようです。
日本の約半数のカップルが男性主体のコンドームに頼っていることに大きな危惧を感じます。
コンドームが破損していたり、性行為の途中からコンドームを使う、コンドームが外れた、などがありコンドームを使用していたにもかかわらず妊娠してしまう確率(避妊失敗率)はおおよそ17%と言われています。

避妊に失敗した場合、身体にも心にも大きな負担を負うのは女性です。そういう性教育を幼いころから受けている諸外国に比べて、日本の避妊状況が「甘い」のは教育の甘さと、望まない妊娠に対して正面から向き合ってこなかった文化的背景があるのでしょう。
日本の人工妊娠中絶は年間17万件以上
出典:厚生労働省 保健・衛生行政業務報告結果の概要
これは日本の人工妊娠中絶の実態です。青色が2005年、赤色が2015年です。10年前と比べて、人口そのものが減っているので人工妊娠中絶の手術数は減っていますし、各年齢層の女性1,000人当たりの中絶数も減ってはいます。
とくに10代の人工妊娠中絶の数は減っています。これは若年層を中心に肌荒れや生理痛への対処としてのピルユーザーが増えていることも関係するでしょうし、インターネットで経口中絶薬が買えるため自宅で中絶した場合の数が含まれていないことも考えなくてはいけません(経口中絶薬の個人輸入は禁止されていますが、実際には横行しています)。中絶せず、若くして産むという選択が増えたのかどうなのかはわかりません。
それよりも注目すべきは20代後半からの、結婚して夫婦となった人たちが多い年齢層の中絶割合が顕著には減っていないことではないでしょうか。
日本では2015年には年間17万件以上の中絶手術が行われており、40代以上では1万7千人が中絶手術を受けています。高齢出産に伴う、妊娠を継続出来なかった、問題が出て継続しない選択をした人たちもいるでしょう。しかし想定外の妊娠をした人たちに限って言えば、その背景には、「もう歳だから妊娠しないと思っていた」「頻繁に性交しないから、まさか妊娠すると思っていなかった」「体外射精(外出し)で避妊した気になっていた」という甘い考えもあるのかも知れません。
35歳以上の女性にはミニピルを使ってしっかり確実に避妊することを強くおすすめします。

