*低用量ピルだけでなく、エブラなど避妊パッチを使用中の人にも同じことがいえます。


目次
ピルを飲んでいて中出しして妊娠したということは、薬が効いていないということ

低用量ピルを服用中、女の人の身体に3つの作用が起きることで避妊を可能にします。本来はピルを飲み続けている時は、7日間分の偽薬(プラセボ錠)を飲んでいる時でも膣内射精(中出し)しても妊娠しません。
2)子宮内膜を薄いままに保つ(着床を阻止)
3)子宮頸管の粘液を変化させる(精子の膣内侵入を阻止)
しかし稀に、この3つの作用を全て起こさせなかった場合に、「ピルを飲んでいたのに、中出ししたら妊娠した」ということが起きるのですね。そういうのを「すり抜け排卵」と言います。
すり抜け排卵による妊娠率は0.3%と言われています。その0.3%の避妊失敗がなぜ起こるのか、原因を解説します。
まだ薬が効いていない段階で避妊効果が出ていなかった
ピルは基本的に生理の初日から飲み始めるのが一番安全な飲み方です。生理が始まった時からホルモンを調整することで卵子の成長を止め、排卵も抑制します。なので飲み始めて7日後からピルが効いて、膣内射精(中出し)をしても妊娠しないと言われています。
しかし、生理の初日からではなく、サンデースタートという「生理後5日以内の日曜日から飲み始める」ような飲み方をした場合、飲み始めから7日間はコンドームなど別の避妊方法を併用する必要があります。このような飲み方をし始めると、7日間は排卵の可能性があるためです。

飲み忘れた後の対処が不適切だった
低用量ピルの場合、いつもの時間に飲み忘れても12時間以内に飲めば大丈夫。ピルの成分は効き続けています。
でも12時間以上たってから飲み忘れに気がついた場合、適切な処置が必要となります。
ミニピルや超低用量ピルはもっと厳格に時間を守る必要があります。
これ以上の時間を忘れた場合は、緊急避妊をおすすめすることもあります。
↓このページを参考にして下さい。

下痢や嘔吐でお薬を吸収できていなかった
体調不良でお腹を壊していたり、ピルの副作用で気分が悪くなって吐いてしまったりした場合、ピルのホルモンが十分に吸収される前(飲んだ後2時間経つ前)に体外に排出されてしまうことがあります。
その場合には「ピルを飲んでいない」のと同じことになるので、すぐに新しい錠剤を飲む必要あります。
1日限りの嘔吐・下痢の場合、OCの成分が最高血中濃度に達する2時間を過ぎていれば,避妊効果が担保されると考えられる。よって、OC服用後2時間以内に嘔吐・下痢した場合は,できる限り速やかにもう一度服用しさらに翌日定時に服用する.2時間を過ぎていれば翌日定時に1錠服用する。
出典:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
ピルを飲んで2時間経てば、お薬の成分はきちんと吸収されていると考えられます。その2時間の間に、嘔吐やひどい下痢をしなければ大丈夫です。
しかし万が一そういうことが起こった時のために、ピルのシートは多めに手元に置いておき、1シートは予備として非常時に使えるようにしておくと安心ですね。

別のお薬との飲み合わせが悪かった
風邪などで一時的に飲むお薬の中には、ピルの避妊効果に栄養を及ぼすものがあるので注意しましょう。家にあるお薬を飲む際にはよく成分を確認し、ドラッグストアでお薬を買う時や病院を受診する時には、薬局の薬剤師さんやお医者さんに必ず「ピルを飲んでいます」と伝えて相談しましょう。
「アセトアミノフェン」を含む解熱鎮痛剤や風邪薬
アセトアミノフェンは痛み止めや熱冷ましによく使われている成分ですが、ピルの避妊効果を下げてしまいます。有名な市販のお薬では、タイレノールやバファリン、ノーシン、ルル、ベンザブロック、コンタック、セデス、エキセドリンなどがあります。処方薬ではカロナールがアセトアミノフェンを鎮痛成分としています。
ピルの避妊効果に影響を及ぼさないように、イブやロキソニンを使うようにしましょう。
ピルを飲んでいる間は次のようなお薬は避けましょう。他にもありますので、よく確認しましょう。

「テトラサイクロン」系抗生物質と「ペニシリン」系抗生物質
テトラサイクロン系の抗生物質(テトラサイクリン・アクロマイシンなど)とペニシリン系抗生物質(アンピシリン水和物・ビクシリンなど)は、ピルとの併用には注意が必要とされています。避妊効果が落ちるだけでなく、不正出血のリスクが高まるというデータもあります。
病院からよく出される抗生物質のクラシッド、メイアクト、クラリス、クラビットなどはピルとの飲み合わせは大丈夫です。
サプリメントとの飲み合わせが悪かった
ハッピーハーブとして有名なセントジョーンズワートは、ピルの避妊効果を下げてしまいますので、ピルを飲んでいる間は禁忌です。
セントジョーンズワートは抗うつ作用や、止血作用があり、さまざまなサプリメントやダイエット用の飲料などに含まれていることが多くあります。
サプリメントでよく使われているので注意しましょう。
また、大量のビタミンC(1日1,000mg以上)の過剰摂取も避妊効果を下げ、副作用のリスクを高めますので気をつけましょう。

Some medicines and grapefruit juice may increase your level of the hormone ethinyl estradiol if used together, including:
・acetaminophen
・ascorbic acid
・medicines that affect how your liver breaks down other medicines (itraconazole, ketoconazole, voriconazole, and fluconazole)
・certain HIV medicines (atazanavir, indinavir)
・atorvastatin
・rosuvastatin
・etravirine
出典:https://www.xulane.com/what-is-the-patch
・アセトアミノフェン
・アスコルビン酸(*ビタミンC)
・抗真菌薬(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、フルコナゾール)
・特定のHIV薬(アタザナビル、インジナビル)
・アトルバスタチン
・ロスバスタチン
・エトラビリン
エチニルエストラジオールとは、不妊症の治療にも使われる「排卵の質を高めるホルモン」です。つまりこれらのものと一緒に避妊剤であるピルを飲んでも、排卵してしまう可能性がたかくなってしまうということですね。
すり抜け排卵さえ起きていなければ、偽薬(プラセボ錠)を飲んでいる間や、1週間の休薬期間の間に中出ししても、高い避妊効果は保ったままです。
