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カウパー腺液(我慢汁)で妊娠は可能か
カウパー液、がまん汁、先走り汁・・・いろんな呼び名がありますが、正式名称は「尿道球腺液」と言います。男性が興奮すると男性器の先から出てくる透明でネバネバの「あの液体」ですね。英語ではクーパーズグランド(「カウパー腺液」)とかプリカム(pre-cum「イク前」)とかと呼びます。
「純粋な」カウパー腺液に精子は含まれていない
Yahoo!知恵袋などで不安感からかよく質問されているようですが、「カウパー腺液で妊娠は可能か」という言葉に答えるならば、「ない」でしょう。
なぜなら「純粋な」カウパー液に精子は含まれていないからです。カウパー液はあくまでも「潤滑油」的な役割を果たし、膣と陰茎を摩擦から守り、その後精子が放出されるときに生存率を保ったまま膣内に届けられるよう、普段酸性である尿道と膣内をカウパー液のアルカリ性で中和する作用があります。
なぜ「外だししたのに我慢汁で妊娠した」という事例があるのか
カウパー液には精子が入っていないとすれば、なぜ「外だししたのに我慢汁で妊娠した人」がいるのでしょうか。
下の表では、膣外射精・外だしで妊娠する確率は「4%~18.4%」というデータになっています。
出典:https://drjengunter.wordpress.com/2011/08/11/what-is-the-best-method-of-birth-control/
このデータは、アメリカで医学書も書いて出されている産婦人科の専門家の医師のHPからのものですので、信頼できると思います。

可能性として考えられるのは次の通りです。

カウパー液に精子が混じる時
射精前のカウパー液に精子が混ざることがあります。
その日最初のセックスの射精後、すぐに2回目、3回目の性交をすると、尿道に精子が残っている可能性があります。この場合、カウパー液が精子を運ぶことになり、膣内に入ることも考えられます。
またそのまま次のセックスに入るということは、陰茎(男性器)の外側にも精子が付着している可能性があります。
1回目の射精が終わった後、次の性交を行う前に男性がトイレでおしっこをすることで尿道に残っている精子は外に流されます。それから毎回シャワーで性器を洗うようにするとカウパー液に精子が混ざることはないでしょう。
カウパー液に精子が混ざった場合、1ml辺りおおよそ300万個の精子が存在すると言われています。
男性の精液の精子濃度については、一般には、精液1cc中に精子が、4,000万個以上とされているようです。一般に一回の射精で排出される精液は2ml~6ml(小さじスプーン1杯~2杯)、膣内に入る精子数は平均2~3億ですが、卵管内に入って卵子に近づくことができる精子は250くらいにまで減ります。0.0001%の数の精子が卵子に近づき、それでも確実に受精、着床するとは限りません。
それを考えると、カウパー液1mlに300万個の精子が、妊娠するにはいかに少ない量かわかりますね。もし精液1ml辺り300万匹の精子量だと、「男性不妊」と言われます。現実的に考えると、先走り汁に混ざった精子で妊娠するのはほとんど宝くじに当たるに近い低い確率だと思いますが、高校生や健康な若い人の場合は精子の数も多いですし、精子の動きも早く「活きが良い」ですので、中高年の男性に比べるとややリスクは高まるでしょう。
「我慢汁に触れたあと粘液が手についた状態で、指を膣に入れた」という程度では妊娠はしないでしょう。何故なら精子は空気に触れるとたちまち死滅するからです。カウパー液がついた手で精子が生き残っていられるとしても、ほんの少量でしょう。

膣口の近くで射精した精液が膣内に入った
射精の直前で膣から抜く時に、陰茎を完全に引き抜く寸前に射精が始まってしまい少し膣内に残ってしまうことがあります。
性経験が浅い男性や、射精のときには抜いたから大丈夫という甘い考え方の男性に多いようです。本人も女性も「外出しした」という認識ですが、実は膣内に入ってしまっていることはあり得ることで、それで妊娠すれば「中では射精なしだったのに?!がまん汁で妊娠した!」と思ってしまうのです。
先ほどの「カウパー液で妊娠する」よりも遥かに妊娠の可能性は高いです。
射精する前に精液が漏れ出た
これもまた可能性が高い避妊失敗例です。
男性は射精感が高まると尿道括約筋をゆるめ前立腺を収縮することで一気に精液を放出するのですが、尿道括約筋がゆるい、または閉じ方が甘いと「射精感が高まる前に精液が漏れる」という現象が起きます。
冷静に「漏れた」と分かればいいのですが、興奮状態にある時には「漏れたか?大丈夫か?」とはっきりわからない男性もいます。そのような人からすれば「中で射精はしてない、入れただけなのに!がまん汁で妊娠した!」と思うかも知れません。

可能性は低いが産後や危険日はやはり危険
3つの危険性を挙げましたが、要点は次の通りです。
・ゴムなしでピルなどの避妊をせずに生で性交渉した場合は必ずリスクがある
・陰茎の挿入なしに、カウパー液を触った手に付着した精子で妊娠することはない
そして妊娠する確率を上げるものが「産後1年間」と「排卵日前後の危険日」です。
生理中は妊娠しない、という間違った知識が広まっていますが、生理中でも妊娠する可能性はあります。
生理・排卵がきっちりしているという前提で、生理を基準とすると生理初日から2週間後あたりが排卵日となります。その前5日間~後5日間をおおよその危険日と考えます。1週間ほど生理が続く人は生理終わり辺りからすぐ危険日に入ります。
下のチャートでは、0の紫色が生理の初日、緑色が安全日、赤色が危険日とされています。
しかしどうでしょう。もし生理が長引いて10日間出血が続いていたとしたら・・・「生理中だから妊娠しない」とは言えません。なぜなら排卵日は「生理初日」からカウントするからです。
また、生理だと思っていたものが実は生理ではなく不正出血だったとしたら。
また、排卵日は体調やストレス、生活習慣などでも狂うため、正確な排卵日は基礎体温をつけないと予測することは難しく、生理の日をベースに考えるのはあくまでも「一応の目安」程度にしかなりません。
生理前だから大丈夫、生理後だから危険日、と安直に考えるのはやめましょう。
また妊娠・出産を終えてすぐ~1年間くらいは、子宮はとても妊娠しやすい状態にあります。2人目、3人目の子供をすぐに望んでいないならば、ピルなどできちんと避妊しましょう。


