低用量ピルの種類 世代とは
低用量ピルは開発された順に第一世代から第三世代まで分けられています。含まれている合成黄体ホルモン剤(プロゲストーゲン)の種類が異なっています。第四世代は最新の超低用量ピルです。
世代 | 黄体ホルモン剤
(プロゲストーゲン) |
避妊以外の効果
他の世代との違い |
出やすい副作用 |
第一世代 | ノルエチステロン | 副作用が少ない | 頭痛、吐き気、乳房の張り |
第二世代 | レボノルゲストレル | 不正出血しにくい | ニキビ、多毛化 |
第三世代 | ・デソゲストレル
・ゲストデン |
ニキビ改善、多毛症改善
体重増加しにくい |
不正出血・血栓 |
第四世代 | ・ドロスピレノン
・シプロテロン |
ニキビ・吹き出物改善
むくみにくい |
血栓 |
避妊を目的としたピルは、本来ならば黄体ホルモンだけで排卵を抑制し、その他避妊の効果があるので卵胞ホルモン(エストロゲン)は不要です(ミニピル)。しかし子宮内膜を厚くさせず薄い状態で保ち避妊の効果を上げるために卵胞ホルモンの力を借りるようになって出来たのが混合ホルモン剤(ピル)です。
当初のピルは黄体ホルモンが弱かったため、多量のエストロゲンを配合していました。しかしエストロゲンが多いと、血栓症、乳がん、子宮頸がんのリスクが高まるという研究や、肝臓機能障害などの副作用が報告され、WHOは卵胞ホルモン量を50マイクログラム未満にするように通達しました。そうして出来た、エストロゲンの含有量が50マイクログラム未満のピルが低用量ピルです。
第一世代ピルは、1960年代に開発されました。黄体ホルモン「ノルエチステロン」の作用が穏やかなため、卵胞ホルモンを50マイクログラム未満に抑えても十分な効き目があるように、黄体ホルモンが多く含まれています。
第二世代ピルは、卵胞ホルモンを50マイクログラム未満に、そして黄体ホルモンも「レボノルゲストレル」という新しいものが開発され、どちらも少ない量で確かな効き目が約束されました。しかし男性化症状(アンドロゲン作用)という新たな問題が浮上し、にきびや多毛化が副作用として報告されました。そのために、現在の第二世代ピルは2相性、3相性で21日間の間で段階的にホルモン値を変化させる工夫がされています。
第三世代ピルは、男性化症状を抑えるために、「ゲソデストレル」や「ゲストデン」という包帯ホルモンが開発されて1980年代に出来たものです。
第一世代ピルは黄体ホルモンの含有量が多くなりがちですが、男性化症状(アンドロゲン作用)が少ないことと効き目がマイルドなこと、歴史が長いことで欧米では根強い支持を受けています。
第二世代ピルは全体的はホルモン含有量が少ないため、広く普及したピルです。アンドロゲン作用に敏感でない方には最適なものと言えるでしょう。
第三世代・第四世代ピルはアンドロゲン作用に敏感で第二世代ピルから乗り換えてくる人が多いです。しかしまだ歴史が浅いことから不安を感じる人も多いようです。
低用量ピルの種類 相性(そうせい)とは
ピルは21日間のホルモン量の変化によって、1相性ピル、2相性ピル、3相性ピルに分かれています。
1相性ピルは、21錠の成分が全て同じもので、中高用量ピルと超低用量ピルは全て1相性です。1相性ピルは生理日の調整に便利なことが人気の理由で、欧米では普及している60%が1相性ピルです。
2相性ピルは、21日間でホルモン成分が2段階に変化します。後半の黄体ホルモン量は前半の2倍になります。
3相性ピルは、21日間でホルモン成分が3段階に変化します。変化のさせ方は製品によって異なります。 3相性ピルについては、自然のホルモンサイクルに近いと言われています。
低用量ピルの世代と相性からみた種類
1相性 | 2相性 | 3相性 | |
第一世代 | オーソ
ルナベル |
シンフェーズ
ノリニール |
|
第二世代 | マイクロジノン | トリキュラー
アンジュ ラベルフィーユ |
|
第三世代 | マーベロン
ファボワール |
||
第四世代 | ヤーズ |
*アンジュ、ラベルフィーユはトリキュラーのジェネリック(後発薬)で、ファボワールはマーベロンのジェネリックです。
低用量ピルは、日本では薬局やドラッグストアでは市販されていません。病院(産婦人科)で診察を受け、処方箋を出してもらって自由診療、完全自己負担で買うことが出来ます。診察料の他、お薬の値段は1か月分で3,000円~が相場になっています。
個人輸入でしたら自己責任ですが、もっとお安く買うことが出来ます。長期間に渡って避妊するのに、負担が少ないでしょう。
初めてピルを飲むときは2,3カ月続けてみて、副作用が出てくるようなら違うものに変えて様子を見ると良いでしょう。

トリキュラー
【3相性ピル】日本で一番飲まれている低用量ピルです。ホルモン量が21日間で3段階に分けて変化していき、不正出血などの副作用が起きにくいように作られています。
初めてピルを飲む人はトリキュラーをおすすめします。
飲み方は、生理の初日から飲む方法が安全性が高いので、サンデースタート(生理後初めての日曜日から飲む方法)よりもそちらをおすすめします。
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28錠タイプ |

マーべロン
【1相性ピル】マーベロンは同じ成分の錠剤を21日間飲み続ける1相性のピルなので生理日の調整に便利なことから人気です。
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21錠タイプ |
28錠タイプ |
ダイアン
【1相性ピル】アジア人のために作られた低用量ピルです。ニキビ、特に脂漏症や炎症または結節の形成を伴う目立つニキビ(丘疹性座瘡、嚢胞性結節)、男性ホルモン性脱毛症、多毛症などの、男性ホルモンによる病期の治療にも使用されています。
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21錠タイプ |


